*中津先輩*
そんな声が背中から聞こえた。

ゆっくりと顔を向けると、キョトンとした表情の中津先輩。


「…え。だって先輩…今、部屋から出て行けって…」

「そんなの当たり前だろ?北原にまで、風邪が移ったら困るだろ?」


…へっ……?


あたしは、今の状況がまったく理解できていなかった。


「…あ、あの。あたしは先輩に謝りに…」

「だから、なんで謝るんだよ。なにも悪いことはしてねぇだろ?」
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