いつも視線は君ひとり
そうしていたら、いつのまにか昴の家の前に着いていた…。
──ガチャ
「…送ってくれてありがとうございました。…おやすみなさい。」
私は、いつも二人と別れる時よりも長く、深くお辞儀をした。
そして私は自分の家の門を開けようとした。
「咲ちゃん。」
後ろから呼び止められた。
昴ママは振り返った私の前に立った。
「…あのね、昴、これからも今回のこと後悔する時はないと思うわ。
…だって、咲ちゃんっていう大切な人を守れたんだもの。」
──クシャクシャ
昴ママは優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。
何でそんなに優しくしてくれるんだろう。
恨まれても仕方ないのに…。
私はまた泣きそうになった。
昴ママの言葉は私の心の引き締めをほどいてくれたようだったから…。
「…ありがとう…ございます。そんなに優しくしてくれて…。」
「そんなことないわ…。そうだ…今日こんな遅くなっちゃったし私から説明しようか?」
「…いえ、自分で言います。ありがとうございます…。おやすみなさい…。」
と言って私はもう一度、さっきよりもより深くお辞儀すると門を開けた。