いつも視線は君ひとり
「ただいま…。」
「おかえりなさい。……どうしたの?こんな遅くまで…。」
玄関まで来たお母さんはとても心配そうな顔をしていた。
…言わなきゃ。
「…あのね、そのことなんだけど話せるかな?」
「…えぇ。リビングで待ってるから、荷物置いてらっしゃい。」
お母さん…。
きっと、私が大事なこと言うって分かったんだな…。
そして、リビングに行くとお母さんに加えてお父さんもいた。
それを見て分かった。
多分、今日私がしたことを2人は知っているのだろう…。
そして、私が自分から言うのを待っているのだということも。
私は2人に今日あったことを話した。
一つ一つ。
昴パパとママに話した時みたいに泣きそうにもなった。
声もとても震えていた。
でも私には今ここで泣き崩れていい訳ない。
多分、ここで泣き崩れれば二人は私を抱き締めて大丈夫だと慰めてくれるだろう。
でもそんなことだめだ。
たとえ拙くても、この責任を果たさなくてはいけない。
甘えてはいけない。
二人は最後まで何も言わずにただ聞いてくれた。
そして話し終わるとお母さんは、
「そうだったの…。
じゃあお見舞いの時、お礼と謝りに行きましょう。
…咲、今日はもう寝なさい。明日学校もあるし。ね。」
──ギュッ
そう優しく言って二人は私を抱きしめてくれた。