いつも視線は君ひとり




──ガラッ




──シーン




…やっぱり。さっきまではクラスの外からでも聞こえるほどにぎやかだったのに…。


きっと、昨日のことが噂として回ってるんだろうな…。


皆は私の事どう思っただろう…。


『あんたのせいで』


『昴が可哀想』


聞こえてこないはずのクラスメイト達の声が頭で反響する。


来ないのは卑怯だと、責任放棄だと思って、向き合う為に来たけれど。


むしろ来ない方が皆にとって良かったかもしれない。


今からでも帰った方がいいかな。


私がいたら居心地悪いよね。


どうしよう、動かない。


皆の顔が……怖くて見れない。


私はドアの所で立ち止まってただただうつむいてしまった。




──ギュッ




私は誰かに抱きつかれた。


…誰?


私より身長が低く、下にある顔を見た。


するとその子はばっと上を向いたので、目線があった。


この高校に入ってから初めて友達になった坂口 杏莉(サカグチ アンリ)だった。


「咲!!大丈夫だった?」


杏莉がそう言うと、他のクラスメイト達も私の周りに集まってきた。


しかも、そのたびに一人一人が、


「咲ちゃん大丈夫だった?」とか、


「向澤、怪我とかなかったかー?」


と言ってくれた。


皆…なんでそんなに優しくしてくれるの…。


「うん…。私は大丈夫だよ…。心配してくれてありがとう…。」


うっ


ひっく


涙が…止まらないよ…。


「咲…。だいじょーぶ!!ひとりじゃないよ!!

咲の味方はこんなにいるんだからね?」


皆優しいよ…。


思っちゃいけないのに……。


嬉しいって、思っちゃうよ………。



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