いつも視線は君ひとり

うそ…。


昔の昴なら、絶対にこんな冷たいこと言わない…。


しかも、私のこと「あんた」って…。


つい数日前までは、「咲!!」って言って笑いかけてくれてたのに…。


それに、今の私を見つめる目…。


とても怖い。


こんな昴見たことない…。


「あ…あはは……、だよね…。えっと、心配してくれて、ありがとう。あっ……長話しちゃってごめんね…じゃあ今日は帰るね!!お大事に!!」


紡ぐ言葉はとぎれとぎれに、最後は聞き取れないくらい早口で。


そう言って私は早足で昴の病室を後にした…。


ああ………。


また、泣きそうになってしまった。


元はといえば、私が悪いのに。


そして泣きたいのは昴の方なのに。


私が泣くのなんてずるいのに。

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