いつも視線は君ひとり


怖い…。とっても怖い。


昴はやっぱり私のことが嫌いなのかな…。


これ以上嫌われたくないけど…。


でも、素直に離すわけにはいかない。


離したらもう一生繋ぎ止められないだろうって…。


そんな気がした。


それでも私の口は恐怖や不安で閉じたままだった。


開けようとも開かなくて…。


でも、伝えなきゃ。


私はその分大きく首を横に振った。


それと同時に繋がっている手もよりいっそう強く握った。


すると昴は深いため息を着いた。


「何か用なの?」


…っ。


用って…それは。


「用って…。えっと…。」


時間が経って恐怖に慣れ口は開いてくれた。


しかし私はその後の言葉が繋がらなかった。


言いたい事が見当たらないとかそういうことでは無いんだけど…。


むしろあり過ぎてるくらいで。


何から言えば、なんて言えばいいのか。


どうすれば昴の心に届くか…。


「えっと何?理由話してくんないと分かんない。」


理由…?


理由って…。


「…昴のこの手を離したくないから…。」


私は昴の一言一言にズキズキと心を痛めながらも、そう言った。


素直な私の言葉を。


「は?だから、その理由は?」


それは…。


「昴と話したいから…。」


そう言うと昴は顔を横に向けた。


とてもだるそうに…。


「悪いけど、前言った通りあまり俺はあんたに関わりたくないんだ。だから、手離して。」


その言葉は今までに聞いたことのないほど冷めた声をしていた。


怖い…。


昴にこんなに拒絶されるなんて…。


今にも逃げ出したい…。


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