いつも視線は君ひとり
「…おい。泣くなよっ…。俺となんて…一緒にいない方が良いんだよっ…。」
俺となんてって!!
一緒にいない方がいいって!!
「なんでそんな事言うのっ!!勝手に決めつけないでよ!!」
私は涙を流しながら怒りを込めてそう言った。
「勝手になんて決めつけてねぇよ…!!こっちだって必至に悩んでたんだよっ!!どうすれば周りが今まで通り笑っていてくれるか。辛い思いしないで済むかって。」
昴は顔を伏せた。
…っ!!
昴はずっと悩んでたの…?
でもそんなの…間違ってるよ…。
「私は…昴といられない方が辛いって言ってるじゃん…。辛いし悲しいんだよ…?そう思ってるのは私だけじゃないよ。」
きっと昴のパパやママ。
クラスの皆だって。
直だって…。
「俺は…俺はただ…あんたらに悲しんで欲しくねぇからそうしてただけなのに…。わっかんねぇよ…。それ以外にどうすれば元通りになれるかなんてよっ…。」
昴は涙声を精一杯張り上げてそう言った。
顔は伏せてて分からないけど、背中が小刻みに揺れていてすんごい辛かったってことがよく分かる。
昴…。
そう思ってくれてたんだ…。
私バカだった。
昴が冷たくなっただなんて嘘だった…。
ホントはこんなにも変わらず優しかったんだね…。
皆の事を1番に思ってたんだね。
その事に一番に気づけなかったなんて…。
そんな昴を支えてあげることもしなかったなんて…。
幼馴染、失格かな…。
でも…それなら…。
私は頬をつたっている涙を拭って少し微笑み、昴の小刻みに揺れる背中を繋いでる手とは逆の手でなでた。