いつも視線は君ひとり

一瞬ビクッと昴は背中を揺らしたけど、構わず私が背中をなで続けるとまた小刻みに背中は揺れだした。


そんな背中に愛おしさを感じると共に、私は昴に優しく声をだした。


「そんなの、簡単だよ。皆と話せば良いんだよ。」


「…っ。でも、今更…。尚更皆悲しくなるだけじゃ…。」


さっきにもまして酷くなった涙声でそう答えた。


昴ってば、ばかだなぁ…。


そんなこと…いちいち考えちゃうなんて…。


「だから、昴と話すのに悲しいと思う訳ないじゃん。」


昴への愛おしさが増してまして。


私は気づくと左手を軽く引っ張り、昴を抱き締めていた。


「…っ!!」


私は抱き締めた後も背中をなで続けた。


「それにさ…私がいるじゃん。これでも…こんなのでも昴の幼馴染なんだから、いつでも頼ってよ。相談してねって言ったじゃん。…ね?」


病室の時のこと、ごめんね。


昴の返答に怖いって思っちゃって。


そこから逃げ出しちゃって。


でも、これからは絶対そんなことしないから。


「…ありがとう。」


私のことを弱い力で抱きしめ返すと1番酷い涙声でそう言った。


昴の声や力を感じると、さっき拭ったはずの涙がまた出てきてしまった。


昴…これからもよろしくね…。


もう1度、幼馴染やり直させてね。


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