いつも視線は君ひとり

結局2人とも泣いたまましばらくの間抱きしめあっていた。


誰かが屋上に入ってくるかもしれないのに…。


昴は落ち着きを取り戻すと、私を抱きしめる力を抜いた。


昴を見ると、目と耳が赤くなっていた。


昔から昴は涙をこぼした後目と耳が赤くなるんだよね。


お互いの手が離れていくと自然に二人の距離もそっと離れた。


ちょっと残念なような…寂しいような…。


でも、きっとこれで良かったんだよね。


そう思うと、私の心はほっこりと暖かくなった。




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