いつも視線は君ひとり

少しの沈黙が流れた。


それを壊したのは昴だった。


「そういえば、何でお前あいつに触られてんの?」


昴はもう涙声ではなくなっていた。


「あいつって…?」


「あの隣のクラスの…俺の幼馴染みだっけ。」


だっけって…。


それにあいつって…。


ホントに直のことも忘れてるんだ…。


「何?あいつってあんたの彼氏なの?」


か、彼氏〜!!??


なにいってるの!?


私は顔が真っ赤になるのを感じた。


「…何?図星…?」


ちっ違う!!


「なっんな訳ないじゃん!!直は私と昴の幼馴染み!!それ以上の関係なんてあるわけないじゃん!!」


勘違いしないでよ!!


「でも…頭撫でてたじゃん。」


「ただ単に元気だせって言ってくれただけだよ!!」


杏莉もだけど、なんでそんなこと言うかな?


「はぁ!?ならあんた警戒心なさ過ぎだろ…。何男子に簡単に触らさせてんだよ。」


はぁ?何でそんなこと…


「何で昴がそんなこと言うのさ!!」


──シーン


昴はハッとすると、悲しそうな顔をしてふいっと横に向けた。


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