いつも視線は君ひとり


私がそう言うと昴は真っ直ぐに私の方に視線を向けた。


「そっか…。あのさぁ、お前は昔の俺と今の俺どっちが好き?」


え…?


どっちって…。


それは…勿論。


「…私はどっちの昴も好きだよ。」


私は笑みを浮かべながらそう言った。


昴は驚いた顔をした。


「性格変わっても優しい所は変わらないし。どんな昴でも、私はいいと思うよ。」


私は一番の笑顔で、そう言った。


それが私の気持ちだよ…。


って昴何にも言わないんだけど…?


ちょ、何か恥ずかしいんだけど…。


昴を見ると、何故かとても顔が赤かった。


昴は顔を右腕で覆うように隠し、横を向いた。


「…あんた。男に簡単に好きとか言ってんじゃねぇよ…。」


昴は私に聞こえるか聞こえないかの声でそう言った。


え…?


『…私はどっちの昴も好きだよ。』


…って。


好きって…告白じゃん!!


「っごめん!!」


ひあぁぁ…!!


恥ずかしい…。


「…別に良いけど。」


私は顔がとっても熱くなるのを感じた。


昴…どう思ったかな…?


引いた!?


やっぱ引いた!?


あー!!


昴はそれからまた私に背を向けた。


「…あと、なら良かった。」


と言った。


昴の耳を見るとまたとっても赤くなっていた。


ていうか、さっき以上に。


て、照れてる!?


…とりあえず、よかったのかな?

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