いつも視線は君ひとり


「…そろそろ帰るか。」


2人とも顔の赤みが消えたころ、昴がそう言った。


確かに、外に居すぎて寒い…。


腕時計を見ると、私が抜けてから三十分近く経っていた。


こんなに休んでたら流石にもうサボりバレたかも…。


「うん。じゃあ行こ?」


私は屋上のドアに向けて歩き出した。


「そうだな…えっと…」


「ん?何?」


何か昴がいいかけたので振り返った。


すると昴は私のことを真っ直ぐに見ていた。


──ドキッ


…な、何…?


「…咲…。」


え…?


かああぁぁぁ。


私は顔が赤くなるのを感じた。


それを見て昴も顔を赤くし、顔でかくしながらそっぽを向いた。


「って呼ぶから!!あと、お前ワンピース来た方がいいよ。…似合わないなんてことないから…!!」


…っ!!


また、呼んでくれる。


昔のように、また。


「…っ!!ありがとう!!」


昴から”咲”って呼ばれるのいつぶりだろ…。


それに私がワンピース着てないの、見てたんだ。


私は2つの嬉しさでいっぱいになった。
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