いつも視線は君ひとり
「えっと…何で?」
今まで恋愛面に疎い昴から出されることのなかった話題につい動揺してしまう。
私はできるだけ冷静を装いながらそう聞いた。
あるわけないじゃん!!
だって今まで私の好きになった人、昴だけだし…。
「何でって…まあ咲だからいいか…。」
そう言うと昴は顔を赤らめながら頭をかいた。
その姿に嫌な予感がした。
変に心臓の音が大きく感じて、静寂に私の心音だけが響いてるように感じた。
やめて、聞いちゃ、いけない気がする……。
そう、感じたのを鮮明に覚えてる。
でもそんな私の顔を見ず何かを決意している昴。
そして、言ったんだ…………。
この後、私達の運命を大きく変えた言葉を…………。
「俺、三上先輩に告白しようと思ってるんだ。
だから、同じ女子としてなんかアドバイス貰えないかなって…。」
…………。
えっ………?
うそ…。
昴が告白…?
頭を鈍器で勢いよく殴られたような衝撃が私に走った。
「えっ…と三上先輩ってあの…?」
三上先輩っていうのは、美人で有名な一個上の先輩だ…。
「ああ、俺さ。放課後に委員会で残ってたことあってな………。
帰ろうとしてふと見た教室に三上先輩がいたんだ。三上先輩、泣いてて…。
理由聞いたら、彼氏にふられたって言ってて…。」
顔をさっきよりも赤らめながら話す昴。
私は、こんな表情。
今まで見たことない……。
空っぽになった頭にその表情や声だけがリピートされる。
やめて……。
そんなの……知らない……。
「その時思ったんだ。この人を守ってあげたいって…。だからこの告白、失敗したくないんだ…!!」
そう言うと昴はふっと優しく微笑んだ…。
──ズキッ
…昴にそんなことがあったなんて。
知りたくなかった。
聞きたくなかった。
何で私に聞くのよ…。
そんな…私の知らない顔して他の女の人のこと話さないでよ…。
嫌だ…………。
嫌……。