いつも視線は君ひとり
心はその現実から背けようとするのに身体が一向に動かない。
だんだんと視界がぼやけていくのだけ感じた。
……あっ……。
やばっ……。
涙でそう…。
そう思い必死に戻そうとするけどそんなこと出来なくて。
焦りながら私は昴に背を向けると、
「…私よくわかんないけど、こうやって二人で登校するのはやめた方がいいかもねっ‼
…ってわけで、先行くね!!」
と言って下を向いて早足で歩き出した。
黒くてドロドロしたものが私の空っぽになった空間を埋めつくし始める。
ばれちゃだめだ、こんな感情。
私達は単なる幼馴染。
昴が相談してくれたのも。
今までこうして朝一緒にいってくれたのも。
その関係だけがあっただけなのに。
その現実に胸が押しつぶされそうになる。
「おい!!咲。急にどうしたんだよ。待てよ。」
昴、お願い。
追いかけてこないで。
「おい。咲。」
だって、今振り返ったりしたら今にも泣きそうな顔を見せることになるから…。
お願い…。
ホントに追いかけてこないで…。
今の私、とっても醜いよ…。
応援なんて出来っこないよ…。
こんなの昴にばれたらもう話もしてもらえないだろう。
知られたくない。
嫌、もう……。
嫌……。
その時だった。
今までのよりはるかに大きな声で
「咲!!あぶねぇ!!」
と聞こえた。
私はその声に反射的にびっくりして立ち止まった。
そして顔をあげるとそこには…
視界の横に十数mか先からこちらに走るトラックが見えた…。