いつも視線は君ひとり

それから私は救急車と警察に電話をした。


手が震えて上手くスマホが打てなかった。


声もとても震えていた。


怖い…。


頭は真っ白になってるのに、恐怖があるのは分かる。


電話が終わって改めて昴のことを見たら、自然と涙があふれてきた。


「すば…るぅ………。」


名前を呼んでも……返事は返ってこない……。


「ごめ……ねぇ。」


こぼれ落ちる言葉。


いつもの明るい笑顔も……


「私の……私のせいで…ごめんねぇ…。」


いつもの優しい言葉も……


そこにはない…………


なんでよ……………


何でこんな私をかばってくれたの…?


ごめんなさい…。


ごめんなさい…。


ごめんなさい………。


──ポタッ


──ポタポタッ


うっ


うああああぁぁぁぁぁぁん…………


それから私は救急車が来るまで泣き叫び続けた。

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