笹に願いを
天野くん曰く、霊園は「うちから車で10分強」の距離にあるらしいので、私たちは霊園の入口で待ち合わせることにした。

お墓のまわりを掃除したり、雑草を取ったりしてキレイにした後、お供え物をしてから、お墓に向かって手を合わせる。

「・・・なんかこういうのって、なかなか・・・オツだよね」
「なかなか“親密なデートだ”と言いたまえ」
「そぉ?かなぁ・・・。でもまぁ、言いようによっては、確かに“親密”だよね」と私は言いながら、クスッと笑った。

「墓参りにはよく来てんのか?」
「そうねぇ・・長くても2ヶ月に1度は来てる。うちは両方の祖父母も両親も亡くなってるし、二人とも一人っ子だったし。私もきょうだいいないからね。私がお墓の管理しないと、誰もいないじゃない?でも、そうじゃなくても、お墓くらいはちゃんとしておきたいって思う」
「そうだな」

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