笹に願いを
私の一歩先を歩き出した天野くんは、それでも止まることなくズンズン歩いた。
でも。
歩きながら彼は、空いてる左手を私の方に差し出してくれて・・・。

手を繋いだとき、私は天野くんの隣にいた。

・・・天野くん。
知ってた?
照れてる横顔も、実はカッコいいって。

「何だよ」
「ん・・・何でもないでーす」
「なんだそれ」

私たちは停めている車まで、手を繋いで歩いた。
二人並んで。
離さないで、この手を。
この、幸せなひと時を。

私はまだ、離さない。


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