笹に願いを
21
今日から仕事の私は、普段仕事の日に起きている時間よりも、1時間半早く起きた。
天野くんちに泊まったのは全然いいんだけど、急きょそうなったので着替えがなかったのだ。
だから、一旦自分ちに戻って着替えた後、出社することにした。

「天野くん。今日はお墓参りに行くんだったよね?」
「ああ。母さんの方な。岡山だから結構遠いんだよなぁ。日帰りでも行けないことはないんだが、こういう時くらいしか親戚に会うことねえし。ちっちぇーが祭りもあるし。せっかくだから1泊してくる」
「そうしなよ。うちの母方のも遠いから、私も行くときは、最低1泊はしてるよ」
「おまえの母さん側の親族の墓ってどこにあるんだっけ」
「長崎」
「俺んとこよりもっと遠いなぁ」
「でしょ?だから、毎年この時期くらいしかお墓参りには行ってないんだけど、今年は行けなかった」
「手術してまだ間もないしな」

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