笹に願いを
「織江ちゃーん。運転よろしくっ」

身長159センチの私は、身長180センチ近い天野くんを、ジトッとした視線で見上げた。

今日の彼に、いつもの爽やかな雰囲気が少し欠けているように見えるのは、私が勝手に彼のトレードマークと思っている無精ひげのせいだけじゃない。
というより、無精ひげがあっても、この人爽やかで・・・セクシーだし。
両目が少し充血してる。ということは・・・。

「また徹マ?」
「ああ。ついな。時間が経つのを忘れた。昔は完徹しても全然疲れなかったんだがなぁ。俺も年かな」
「そーだね」
「おいおい。そこは認めるところじゃないぞ」と言う彼に、私はフンと鼻を鳴らすと、彼の手から車のキーを奪い取った。

ここ数ヶ月、天野くんは「友だちに誘われて」、マージャンをするようになった。
毎晩やってるわけじゃないようだけど、マージャンは、サーフィンと並んで、彼の新たな趣味になったのは間違いない。
ただ、マージャンが、サーフィンと同じくらい長続きをするのかどうかは、誰にも分からないけど。

しょうがないなという感じで私は笑みを浮かべると、車をスタートさせた。

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