笹に願いを
今日は私の誕生日だからということで、天野くんの奢りということになっている。
でもまさか、こんな豪華で高価なところに連れて行ってくれるなんて思ってなかったから、「ちょっと天野くん、十分なお金持って来てるの?」と内心ヒヤヒヤしているところだ。

「大丈夫大丈夫。予約したときに大まかな値段は聞いといたから、ちゃんと用意してるよ」
「そーぉ?」
「おうよ。だから金のことは気にせず、気兼ねもしないでご馳走食べようぜ」
「・・うん。ありがとう」

お料理は、先付(さきづけ)と呼ばれる前菜から、デザートの水菓子まで、どれも、全て美味しかった。
しかも、天野くんが予約をした時に、私が誕生日だと伝えてあったらしく、料理長さんからプレゼントとして、ケーキまでいただいてしまった。
さらに、食後のコーヒー一杯もタダ。
嬉しい。
とっても嬉しい!

日本語だと「おめでとう」と祝って、英語だと「Happy」と言う。
私は、ケーキのプレートにチョコレートで書かれていた「織江さん お誕生日おめでとうございます」と「Happy Birthday」の文字を見ながら、どちらにしても誕生日って、めでたくて特別な日だなと、しみじみ思った。
そして、私の誕生日を一緒にお祝いしてくれている天野くんに対して、感謝の気持ちでいっぱいになった。


< 142 / 224 >

この作品をシェア

pagetop