笹に願いを
「天野くんちから病院まで、思ったより遠くないね。うちからより10分くらいしか遠くなってないんじゃない?」
「そうだな。だが、その10分が長く感じる時もある」
「その時はその時よ」と私が言うと、天野くんはフッと笑って「そうだな」と言った。

「よし。じゃあ行こう」
「うん」

海彦(車)から降りた私たちは、病院の方へと歩いて行った。
微かな震えと、緊張で汗ばんでいるのが、繋いでいる手を通して天野くんに伝わったかも・・・。

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