笹に願いを

「・・・ちょっと天野くん。いくら私のことを同情してるからって、そんなこと軽く言わないで！」
「同情？ああ、するよ。してるよ！同情して何が悪い！」
「あなたは忘れてるようだから、あえて言うけど。私はもうすぐ死ぬかもしれないのよ！少なくとも、もう何年かしか生きられないかもしれないのよ！それなのに、なんで・・・なんでプロポーズとか。こんな私に・・・バカだよ天野くん。そこまで重荷を背負おうとするなんて、ホント・・・。私もバカだよね。っていうか、私の方がバカだった。ごめんなさい。私、ここ出る。あなたと一緒に住むなんて、止めとけばよかっ・・」
「織江ちゃん」

天野くんが“ちゃん”づけで私を呼ぶときは、何か厄介めいた物事や気持ちも一緒にあると私は知っているので、警戒しながら「な、何よ」と言った。