笹に願いを
織江の死後、岡部編集長がこの手紙をくれた。
「私が死んだら義彦に渡してほしい」と、織江が頼んでいたそうだ。
「義彦へ」と書かれた封筒の裏には、「読みたくなったら読んでね。読まなくてもいいし、いつでも捨てていいです」と書かれていたその手紙の封を俺が開けたのは、妻・織江の葬儀を終えた日の夜だった。
そのとき手が震えたこと、淡い青色の便箋に書かれている織江の弾んだ字を見て、思い出したように泣けてきたことも、15年経った今でも覚えてる。
もちろん手紙の内容だって、今でも空で言える。
毎日毎時文面を思い出すことは、もうなくなったが。
今日は久しぶりに妻からの最初で最後の手紙を読んでみた。
「私が死んだら義彦に渡してほしい」と、織江が頼んでいたそうだ。
「義彦へ」と書かれた封筒の裏には、「読みたくなったら読んでね。読まなくてもいいし、いつでも捨てていいです」と書かれていたその手紙の封を俺が開けたのは、妻・織江の葬儀を終えた日の夜だった。
そのとき手が震えたこと、淡い青色の便箋に書かれている織江の弾んだ字を見て、思い出したように泣けてきたことも、15年経った今でも覚えてる。
もちろん手紙の内容だって、今でも空で言える。
毎日毎時文面を思い出すことは、もうなくなったが。
今日は久しぶりに妻からの最初で最後の手紙を読んでみた。