笹に願いを
天野くんは、また恋愛することに躊躇はしていないと思う。
もしかしたら今、つき合っている彼女がいるのかもしれない。そういう話を本人ら聞いたことは一度もないけど。
でも再び結婚することを、まだ恐れている。
もう二度と傷つきたくない、そんな防御のバリアを、自分の周囲に張り巡らせているような気がする。

そして、彼の恋愛と結婚の相手は、私じゃない。
今までも、これからも、ずっと・・・。

そんな天野くんの気持ちを察し、状況を悟った私は、すぐさま自分の気持ちを心の奥底に閉じ込めた。
そして、彼に向かってニッコリ微笑みながら、ウーロン茶が入ったグラスを彼に近づけた。

『俺たちのパートナーシップに』
『乾杯！』

・・・そうよ。
天野くんのことが好きなら、彼と一緒に仕事をしたいなら、「最強の、仕事上のパートナー」という関係で満足しなくちゃ・・・。

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