笹に願いを
岡部編集長がすぐ帰ったのは、手術を終えたばかり私の体調を気遣ってくれてのことだろう。
それと、天野くんと二人きりにしてくれた優しさも。
まぁ、それは嬉しいんだけど、こんな・・・弱弱しい姿を彼に見られるのは嫌だなって思う。
っていうか、もうすでに見られたんだけど。
ノーメイクの顔だって、もう何回も見られたし。
ホント、今更だって分かってる。
けどそれでも、私の女である一部分が、「見ないで」って反発してる気がする。

私、密かに悪あがきしてる。無駄なのに。
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