相原くんは秀才。


分からない。


相原くんの為を思って…私のない頭をフル回転させて出した提案。


どこか…いけなかった?



「こっち来い、浅野。」


「…へ?」


「いいから、来いよ。」



──────グイッ



相原くんの力強い腕に、勢いよく引かれた私の腕。


同時に縮まる相原くんとの距離。



そして耳元で聞こえる、熱っぽく低い声。



「疲れたから、癒して。」


「え?ん…っ!」



いきなり重ねられた唇に驚く暇もないくらい、強く抱きしめられて。


どうしていいか分からない私の手は、行き場を無くして彷徨う。



「……ご馳走様。」


「な、な…/////」



ペロッと舌を出して艶っぽく笑う相原くんに魅せられて、私の心臓はかき乱される。



「俺が勉強教えてやるって言ってんじゃん。疲れたら、また癒して?浅野。」



「だ、から…長谷ヤンに」


「何、俺より長谷川がいいの?」


「そう言うわけじゃないけど!」


相原くんのシュンッと悲しげな顔に、反論しながらも語尾はどんどん小さくなる。


だって、癒して…って…その、

つまりは、またキスされたりするってことだよね?


それってどうなの?ダメじゃない?



「じゃあ、いいじゃん。俺で。
明日も来いよ、浅野。」



ダメだって思う気持ちは嘘じゃないのに、


「………う、ん。」



私は首を縦に振っていて。


「ほら、続き解け。」



どうしようもないくらい、胸はギューッと締め付けられている。

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