相原くんは秀才。




あれから、放課後までの間に



『相原 隼人と浅野 日菜子は付き合っている』


こんな噂が広まるのに時間はかからなくて。



……それもこれも全部、



「相原くんのせいだよ。」


「あ?」


隣で化学のワークにシャーペンを走らせるこの男のせいなのは間違いない。


のに、この憎たらしいほどに強靭な精神。何を言っても今の彼には化学のワークしか見えていないようだ。



「あー、もう!分かんないし。」



見つめる自分の数学のワークは、やっと6ページ目が終わろうとしているところで、


この3日間で、我ながら良くここまで出来るようになった!えらい!頑張った!…もう、辞めよう?


と、自分への甘さが滲み出てきている。



「………浅野、うるさい。」


「……昼は日菜って言ったくせに。」


私の小さくボソッと呟いた声なんて、もはや集中しきっている相原くんには聞こえていない。


その集中力!!分けてくれ!!

< 15 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop