相原くんは秀才。


「あ、あの……私 数学のワークが


「いいよ、んなの後で。」



私にかかる相原くんの重みが、やけにリアルで。


これは夢じゃないと伝えている。



「日菜。」


「…は、い。」


「疲れたから、癒して。」


「ちょ、まっ!んん……」



まるで逃がさないとでも言うように、私へと口付ける相原くんからは


余裕なんて感じられなくて


何故か分からないけど、胸が締め付けられて苦しい。



「ふっ…ん…っ、」


「……なんで頭悪いわけ?」


やっと離れた唇から、開口一番に飛び出した言葉に私は目を丸くした。



「好きでバカなわけじゃない!

…ってか、前回も今回も…なんでキス?!好きでもない人とキスできるなんて、相原くん、おかしいよ。」



相変わらず仰向けの私の目からは、知らないうちに涙が零れて



それを見た相原くんは、何を考えているのか読み取れない。


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