相原くんは秀才。
────────コンコン
いつも相原くんと通っていた寮までの道のりを1人で歩いてきた私は
211号室のドアを叩いて返事を待つ。
「はい?」
低いけど、耳に心地のいい声。
たった2日聞かなかっただけで懐かしいその声に、
思わず、来た道を引き返そうとも考えたけれど
「日菜子だけど、入っていい?」
勇気を振り絞って、声を出す。
「っ、……帰れ。」
そんな勇気もむなしく、相原くんの答えはNOだけど。
私はここで帰るわけにはいかない。だって聞きたいことがあるんだから。
「…入るね。」
許可なんていらない。
顔を見て、話をしたい。
長谷ヤンが言ってたことは本当?
私のこと本当はどう思ってるの?
私の気持ちはどうすればいいの?
…全部、全部全部 答えてくれなきゃ納得してやらないから!!