相原くんは秀才。
「やればいいんでしょ。
長谷ヤンめ…絶対見返してやる。」
放課後、図書室に来た私は意気込みたっぷりに
誰も座っていないテーブルのイスをひき腰掛けた。
そして、睨みつけるのは…数学のワーク。
テスト範囲はP23〜38までの15ページで、15ページと聞けば『なんだ、そんなもんか!』って、思えるのに。
いざ取り掛かってみれば
「……………。」
1問も解けずに15分が経過してしまった。我ながらこのままではデンジャラス。
「あーーっ!もう。
長谷ヤンに教えてもらおうかな。
……でも、」
きっと、長谷ヤンの事だ。
『結局、俺に泣いて頼むなんて…ざまぁねぇな。』とか言うに決まってる。
「あーーーっ、」
「うるさいんだけど。」
─────ビクッ
図書室だってことを忘れて、大声をあげた私に、すかさず聞こえてきた冷たい声にヒィィイッと体が身震いするのを感じながら
「ご、ごめんなさい……」
口をついて出たのは、謝罪の言葉。