相原くんは秀才。
それなのに、これからお部屋にお邪魔して勉強。
…いいのか?
これは、いいのか?
相原くん、イケメンだし。
数学どころじゃないんじゃないの?
いやいや、日菜子!
夏休みがかかってるんだから、しっかりしなさいよ!!
「なに1人で百面相してんの。」
「え?!…いや、何でも。」
私を振り返った相原くんは、慌てる私にまたフッと小さく笑う。
さっきから感じてたけど、相原くんが笑う度に私の心臓もドクドクと激しく加速する。
……恐ろしいイケメンマジック。
「こっち。」
────ギュッ
「わっ…」
校門を出る少し手前、いきなり握り締められた手に驚く私を無視して
相原くんの足はまっすぐに、男子寮へと向かっている。