今日も来ない、きみを待ってる。
2月のはじめ。
私と彼が出会って8ヶ月が経った。
年も明けて寒波が日本を襲い、連日寒い日々が続いていた。

相変わらず火曜日にはカフェを訪れ、木曜日には彼と夕食を共にしている。
そしてその日も、彼の仕事終わりにご飯を食べに行く約束をしていた。

「るいちゃんお待たせ」

私が駐車場で待っていると、いつも通り彼は現れた。

「じゃあ行こっか」

「…はい」

私はいつものように助手席へと座る。
窓の外を眺めていると、見慣れた景色が広がっている。
すでに日も落ち、あたりは真っ暗だ。

車からこの景色を見ることは、もう…

そう考えるとふいに涙が浮かんでくる。
出会ってから8ヶ月。
私は出会ってから今日までの出来事を思い巡らせていた。

彼と出会った、カフェの近くの駅。
ハンカチを拾ってもらったついでに、ドリンク割引券をもらったっけ。
ハンカチを拾ってもらっただけなら、記憶からすぐに消えてしまいそうな何気ない出来事で終わっていただろう。

私と彼が出会ったのは運命だ。
そう思いたかった。

少女漫画のような恋愛に憧れていた。
漫画のように大恋愛をして、結ばれて結婚する。
でも現実は漫画のように上手くいくわけがなくて、たくさん悩んでたくさん泣いた。

誰かを想うことがこんなにも幸せで甘くて、時には苦しくて切ないものだと教えてくれたのは彼だ。

彼の存在は私のなかで大きくなりすぎていたんだ。
< 21 / 26 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop