【短】ソルト男子にはシュガーを。
『待って、泣いてる?』
「泣いてな、い」
千明ちゃんに心配かけたくないんだ。
悟られたくない。
「大丈夫だよ。寝坊、しちゃっただけ」
『どこが大丈夫なの?』
「え…?」
千明ちゃんの声が二重に聞こえたと思うと……
ガバッ
「泣いてたんでしょ?本当、不器用なんだから」
後ろから千明ちゃんに抱きつかれていた。
「なんで…千明ちゃん…」
「鍵が開いてました、無用心だなぁ本当に」
“心配させてよ”と千明ちゃんは言った。
体温がじんわりと伝わってきて安心する。
「なにがあったの?」
優しく聞いてきた千明ちゃんに、私は昨日のことを話した。