【短】ソルト男子にはシュガーを。
「昨日のクッキー、美味かったぜ」
加藤くんは笑顔で話してくれるけど、今は素直に喜べない。
私は無理やり笑顔を作ってお礼を言った。
加藤くんはおもむろにわたしの隣に座る。
「でも悪いことしちゃったかな、椎名には」
え?椎名くん?
加藤くんの口から椎名くんの名前が出てきて体がビクリと反応する。
「なんで…椎名くんが…?」
「昨日、不機嫌だっただろ?それはな…」
ゴクリと唾を飲む。
不機嫌な理由はなんだったの?
「なにしてんの?」
だけど、加藤くんの話の続きを聞くことはできなかった。
遮ったのは…
「し、いなくん…?」
名を呼ぶだけで切なくなってくる。