オトナの恋は強引です!
食事を終えると、母がコーヒーを運んでくる。
「竜二さん、サクラをお願いします。」と母は改まった声で、頭を下げた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」とドラゴンも正座し直して深く頭を下げ下げる。

「お義父さんを怒らせてしまいました。」とドラゴンは困った声を出したけど、
「誰が来ても一緒です。気にしなくていいの。」と笑い、
「また、サクラを連れて遊びに来てね。
結婚式はしてほしいわ。いつ頃になりそう?」
と聞いた。ドラゴンは私の顔を見て、
「お義父さんと相談しようか?」と聞くので、
「わかりました。すごーく面倒になりそうだけど。」と顔をしかめると、
「いいよ。サクラの機嫌が悪くなると、俺は困るけど。」と笑いかけてくるので、
「気をつけます。」とすまして返事をしておく。

母は私達を見て、
「付き合ったばかりには見えないわね。」とにっこりして、立ち上がり、
「サクラ、まだ、藉が入っていないんだから、自分の部屋に戻ってね。」
と振り返ってから出て行った。
「ちゃんと戻るつもりでした!」と顔が赤くなる。

もう、失礼だな。


「なあんだ。もどっちゃうのぉ?残念。」
とドラゴンは私に手を伸ばして、引き寄せる。
こら。
ここは実家です。

「明日は逃さねーよ。」と深くくちづけしてくる。
何度か角度を変え、甘く息を継ぐ。
「お手柔らかにお願いします。」と唇を離すと、
「保証は出来ない。」と頬に唇を付けた。

「恋愛初級者なんだから。
手加減よろしく。」とドラゴンの胸にもたれてつぶやくと、

「オトナの恋は加減ができないんだよ。」

とくすんと笑って私を深く抱きしめてから、

「おやすみ」とこめかみに唇を付けた。
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