オトナの恋は強引です!
身支度を整え、部屋を出て、リビングを通り抜け、
玄関の反対側にある食堂を通って、キッチンを覗く。
(広すぎる。)
ドラゴンが
「海まで行ってくる。」と言うと、
「行ってらっしゃいませ。」とふたりのお手伝いさんが声を出す。

ドラゴンは私を指差し、
「清水 さくら。婚約者。
一緒に暮す事にしたんだ。」と私を紹介する。

婚約?!

そうね。
私の親に挨拶したし…。
とちょっと驚いてドラゴンを見ると、
私の顔を見てにっこりする。

婚約者。
出会って4年間なんにもなかったのに。

メリーゴーランドみたいに同じところをグルグル回ってたのに、
間違って
ジェットコースターに乗ったみたいだ。
クラクラする。

「おはようございます。」と私が頭をさげると、
「おめでとございます。竜二さん。
サクラ様。お名前は彩乃(あやの)さんから聞いておりました。」
と言うので、誰?と思うと、
「彩乃は2歳上の姉。
鎌倉に住んでて、時々息抜きにサーフィンしにきてる。
夫は親父の秘書で、息子が2人いる。
だからさあ、
俺がサクラが好きだって随分前から気がついてて、
そのうち連れてくると思うって言ってたんだよな。」とドラゴンは笑った。
「青木と申します。
彩乃さんに聞いたのは随分と前。だったと思いますが。」と1人は笑い、
「この間お会いしました。矢部です。
ここのところ竜二さんは
熱心にお仕事ばかりだったので心配していました。」と笑った。

どちらも50台って感じ。
ドラゴンは息子みたいなもんかな。
青木さんは背が高く、矢部さんは少しふっくらしている。
どっちも人の良さそうなお母さんって感じがする。
母と同じくらいの年齢かしら。と思う。


ふたりに見送られ、玄関を出る。
ドラゴンは
私の手を取ってエレベーターに乗り、短いキスをする。
監視カメラ。付いてますけど!?

ドラゴンは機嫌よく私の顔を見て、
「朝飯食ったら、サクラの荷物運ぼう。」と言った。

本気なんだ。
もう、引っ越すの?




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