オトナの恋は強引です!
手をつないでのんびり歩く。
海辺の歩道を行くと、
「ドラゴーン!」と砂浜から声がかかる。
祐介君だ。夜中まで騒いでいたと思ったけど、
やっぱり若者は元気だ。10人ぐらいのグループかな。
ドラゴンは手を挙げ、答えている。

なるほど。向こうから誰だかわかるのか。
これじゃあ、私が見ていた事も丸わかりだったか。
と、顔が赤くなる。

私が顔を伏せたので、
「サクラ、どおした?」とドラゴンは私の顔を覗く。
「…いや、あの、
私が竜二さんを見てたのって、バレていたんじゃないかと思うと…。」
と口ごもると、
「やっぱり、俺を見てた?
サクラが俺たちを見てたのはわかったんだけど、
誰を見てるかっていうのは話題でさあ。
俺は、俺を見てるって言い張ったおいたんだけど、
良かった。他のヤツを見てるんじゃなくて。」と笑った。
「グレーと黒のウェットスーツを着た背の高い人もうまいよねえ。」とちょっと言うと、
「アキラか?!…サクラ、俺だけ見てたって事にしとけよ。」と機嫌の悪い声で私を抱き寄せた。

浜辺から、
うおーい!、
見せつけんなー!とか大声がかかる。

「うるせー!
うらやましがってろー!」とドラゴンは大声で言い返しながら、
私の腰を抱いて、江ノ島に向かって海を見ながら、ゆっくり歩き出した。









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