オトナの恋は強引です！

「結婚して。サクラ。」と言って抱きしめてくる。
ソフトクリームが手から落ちる。
「する。っていったとおもうけど。」とドラゴンの胸に顔をつけると、
「いますぐしたい。帰ったら区役所行こう。」と
ズボンの後ろのポケットから、ちいさな箱を出す。
指輪かな？

「急なんだね。」と言うと、
「昨日は酔っ払って渡せなかった。サクラのご両親に認めてもらったら、
すぐに籍を入れたいって思ってた。」と私の顔を見る。
「俺の妻になってください。」ともう一度言うので、
「はい。」と笑うと、

私の左の薬指にシンプルな少しV字にデザインされた金色のリングをはめ、
さらに大きなダイヤモンドの両脇にもダイヤモンドがが付いた
ものすごくキラキラ光るリングも付けた。
きっと、重ねてつけるようにデザインされているんだろう。
これってものすごく高級な気がするけど…
「あ、ありがとう。」と唖然とした顔をすると、
「これじゃ駄目？」と私の顔を見る。
「ちっ、違います。あんまり大きなダイヤだから驚いちゃって…」と言うと、
「よく似合うよ。俺にも付けて。」と箱を私に出す。
私がお揃いのマリッジリングをドラゴンの指につけると、
「これで少し安心できる。
最近、サクラがすごく綺麗になったから外に出すの心配だった。」とニッコリした。

結構恥ずかしいことをサラッと言うヤツだ。
私は顔が赤くなる。

「愛してるよ。サクラ。」とドラゴンは私を見つめ。
「私も…愛しています。」とますます赤くなる。


「アイスに勝ったな。」とドラゴンは落ちたソフトクリームに
蟻が一所懸命列を作っているのを笑って見る。

私は呆れて落ちたコーンの部分をゴミ箱に捨て、
再びソフトクリームを買って戻る。

「サクラぁ、また、買ってきたな。」
とドラゴンがソフトクリームに噛みつこうとするのを邪魔して後ろを向き、
「だって、ちっとも食べられなかった。」
とパクリと大きな口でソフトクリームを口に入れる。
「俺の敵！」と私を深く抱きしめ、再びソフトクリームに大きな口で噛み付いた。
私達は声をあげて笑う。
きっと、周りからはイチャイチャすんな。って思われているだろう。
でも、そんな事も気にならないほど、
私達は幸せだ。

秋の始まりの陽射しに私の指につけられた指輪がキラキラ光っていた。