オトナの恋は強引です！

「お待たせしました。」とスペアリブをテーブルに置く。
ドラゴンがカクテルを持って来て、私を見て、
「サクラ、指輪どーした。」と機嫌の悪い声を出す。
「いや、だって。」と顔を赤くすると、
「サクラちゃんが奥さんなのお！？」とお客さんのひとりが驚いた声を出す。
「そーだよ。サクラ指輪出せ。」
とドラゴンは私がしぶしぶ出した指輪を左手の薬指にはめ直す。
「外すんじゃねー。」と私の頬をつまむ。

「なるほどー。」と笑った声が言う。

な、なるほどって何？

「この間きたとき、『サクラが、いなくなった。』って、ドラゴンがバタバタ出て行って、
サクラって誰って、悠里ちゃんに聞いたのよ。そしたら、よく見かけるカウンターに座ってる、
おとなしい女の子ってわかって、妹みたいなもんだって、周りには言ってたくせに。
あの、慌てっぷりはおかしいって、思ったのよ。
なるほどねー。」としきりとうなずいている。

「納得した？」とドラゴンが笑う。
私は動けない。

「納得したわー。こーいう、真面目そうな子が好みなら、
私達は相手にもされないって事だ。」
とドラゴンを軽く睨んで、運ばれたカクテルを飲んだ。

「て、事で。これからもよろしくお願いします。」
とドラゴンは笑って私の手を引いてカウンターに戻る。

「ドラゴン、お代わりい。今日はのんじゃうよー。」とこえがかけられる。
「おう。」と笑った声を出して、カクテルを作る事にしたみたいだ。

「サクラ。イロイロ気を回すな。俺のそばで笑ってろ。」
とカウンターの奥で私の頭をクシャクシャと撫でる。
「か、髪が…。」と頭を押さえると、
「指輪外した罰だ。もう、絶対外すな。」と怒った顔をみせる。
「はい。」と赤くなって下を向くと、
ギュっと抱き寄せ、頭に唇を付けた。

「竜二さん、ちゃんと働いてー。」とタイガさんが笑った声を出す。
「ハイハイ。」と私をもう一度固く抱きしめて、体を離した。