オトナの恋は強引です!
数ヶ月経って、ドラゴンが赤いウェットスーツを上半身脱いで、
サーフボードを持って歩いているのを見かけた。
綺麗に日焼けして、筋肉がついた身体をしている。

朝よく海にいるから、学生かって思ってたけど、
オトナの男の人だ。って驚いたのと、
(仕事してるの?っていう疑問もあった。)
ものすごくイケメンだったっていうのにも驚いた。


その後、すぐ、マンションのエレベーターで
オンナといちゃいちゃしているところに遭遇した。
ま、それもたびたび。
その度に苦しかった。


1年経ったら、同期で親友のコムギの知り合いっていうか、
コムギのお兄ちゃんと、お店を始めた。って知ってビックリした。
驚いた私の顔を面白そうに覗いて、
「マンション一緒だよね〜。サクラちゃんて言うんだ。」
と私に向けられた笑顔で
決定的に恋に落ちた。気がする。

そして、何も変わらないまま、今日に至る。
ドラゴンはあいかわらず、私の前を素通りし、
私は立ち止まったまま。

もう、やめよう。
ドラゴンから卒業する。

お見合いして、好きになれたら、結婚すればいい。
仕事も辞めよう。

告白をする勇気も出ないまま、
私の片思いは終わって行く。
さよなら。
ドラゴン。

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