嘘つきは泥棒の始まり!
「ただいま、晃生」
「なんか兄ちゃんまたカッコよくなったなー」
………あれ?
あれれれ。
このシチュエーションを見て桜ちゃんは何も思わないの?
水鈴が桜ちゃんじゃない他の男の子とハグしているこのシチュエーションを!
……まあ、幼い頃から仲良くしているお兄ちゃんだから何とも思わないのかもしれないけれど。
だけど。
「嘘でしょ、桜ちゃん……」
「あれ、水鈴。もう帰ったんじゃなかったの?」
「はぁ…?」
何その反応!
桜ちゃんにとっての私って、その程度の存在なの?
いや、知ってたけど!
桜ちゃんが私のこと幼なじみだとしか思ってないって知ってたけど!
桜ちゃんがドライで無気力だって知ってたけど!
でもさぁ、それはないよ……。
「水鈴?」
「……私、帰るね」
私の様子に気がついた桜ちゃんが不思議そうに私を見つめる。
私は彗ちゃんの腕から抜け出して落ちたままだった鞄を拾って肩にかけた。
すると、引き止めるように彗ちゃんが私の肩を掴んだ。
「帰り道、同じ方向じゃん。一緒に帰ろうよ」
「ううん。久々の兄弟再開の感動シーンを邪魔したくないもん」
「そんなの気にすることないよ」