嘘つきは泥棒の始まり!




気が付いてしまった気持ちに、逆らうことができなくて苦しい。



息を切らしながら家に駆け込み、玄関でへたり込んだ。



「あー……」



まさか桜ちゃんが原因でこんな風になる時が訪れるなんて、考えてもみなかった。


しかも気が付いたのはついさっきだし。


なのに、桜ちゃんの行動や表情でこんなにも心が揺らぐなんて。



「本当はずっと前から好きだったのかなぁ……」



そうなのかもしれない。


ううん、そうなんだろう。



………厄介だなぁ。


桜ちゃんのことが好きなんて、厄介だ。


無気力であんまり本当に思っていることを表にしないし、そのくせ無自覚に美少年だからモテちゃうし。


幼なじみだから、好きを伝えたとしても恋愛としての好きが伝わる気がしないし。


桜ちゃんって、鈍感だから。



うーん、前途多難だなぁ。



幼なじみとしての〝好き〟のままだったら良かったのに。


そうしたら、もし私の桜ちゃんに対する好きが伝わってしまって、桜ちゃんに同じ好きが返せないと言われたとしても、気まずくなることがないのに。



後のことを考えると、とても好きだなんて言えない。




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