嘘つきは泥棒の始まり!
朝は寝ぼけていたからっていうのもあると思うけれど、起きてばかりのあの低いテンションはいつも通りで特に桜ちゃんの機嫌は悪くなかった。
じゃあ、待ち方が悪かった?
あ、わかった!
手すりに乗っちゃってたから?
「桜ちゃんごめんなさい。手すりにはもう乗らないです」
「は」
「あれっ、違ったかぁ…」
手すりに乗っていたことが原因ではないのかあ。
じゃあなんだろう。
何が生意気で桜ちゃんは気に入らなかったのかな。
「うーん…ちょっと待ってね、桜ちゃん」
「…わかんなくていいよ」
「ううん、わかりたいの」
「……そ」
だって、好きな人のことは何もかもわかりたいじゃない。
ましてや、私のことを桜ちゃんが言ってくれたんだよ?
昨日彗ちゃんといた時に私に対して「まだ帰ってなかったの」とかぬかした桜ちゃんが、だよ!
これは考えるっきゃないよ!
考え込む私はちらりと何気なくいつも見る和菓子屋さんの店前にかかっている時計に目を留めた。
「はちじ、にじゅうごふん」
「うん」
「25分…?」
「……!」
ハッとした私は、ぐんと桜ちゃんの手を引っ張って走り出した。
なんてこと。
いつの間にやら!