嘘つきは泥棒の始まり!





叫ぶ私に小さく舌打ちして、桜ちゃんは駆け出した。



待って、本当待って……!



自分でもわかるほど熱が集まってきている顔を桜ちゃんの胸に埋めて、目を瞑った。



学校に着いたのが何となくざわざわした音でわかって、桜ちゃんが階段を駆け上がるから体がすごく揺れて。


自分の学年の廊下に着いたことは、女の子の奇声でわかった。


ああもう、恥ずかしい。



ガラッと教室の戸を開けて桜ちゃんが体を教室の中に入れ込むと、たくさんの視線が私たちに突き刺さる。





「………セーフ」





桜ちゃんのあほぅ。


何がセーフなの。


時間ギリギリに遅刻にならずに済んだからセーフなんだろうけど。


私としては全然セーフじゃないよ。



と思いつつ、顔を上げると切れていた息を整える桜ちゃんの顔があった。



そんなに一生懸命走ってくれたの?



きゅん。



………ハッ。



じゃなくてじゃなくて!



慌てて顔を隠すと、その途端、チャイムが高らかに鳴る。


更に赤くなってしまった顔の私は、桜ちゃんにお姫様抱っこをされたままの状態で教室にいた。







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