嘘つきは泥棒の始まり!
朝のHR後、私はたくさんの女子に囲まれて質問攻めされていた。
「水鈴と桜ちゃんってやっぱ付き合ってんの? 桜ちゃんは水鈴のことどう思ってんの?」
付き合ってないし、それは私が聞きたいです……。
「朝の登場は超ドキドキしちゃったぁー。さすがだね、ラブラブ〜!」
私もドキドキしてたけど付き合ってなんていないのでラブラブも何も……。
「桜ちゃんってイケメンだから好きだしファンだけど、水鈴には勝てないなって思ったから許しちゃったわ。頑張って!」
許してくれて有り難いけど、付き合えるかどうかは彼次第です……。
次から次へと質問が飛び交う中、ちらりと見えた桜ちゃんは何を気に留めることもなく、ヘッドホンをつけて窓の外へ顔を向けていた。
桜ちゃん、どういうつもりで私の手を引いて早足で歩いていたんだろう。
……というかお姫様抱っこでダッシュしたりなんてしたんだろう。
答えが出ないからスカッとしないなぁ。
質問に耳を貸しながらも適当に相づちを打って考えていれば、手の中にある携帯が震えた。
「あ」
電話の相手は、こよりちゃん。
そういえば、今日まだ一度も話していない。
「ごめん、ちょっと電話出てくるね」
私はみんなにそう言って、女子をかき分けて教室から出た。