嘘つきは泥棒の始まり!
「もしもし、こよりちゃん?」
通話ボタンを押して、携帯に耳をつけると、電話口からこよりちゃんの声がした。
「水鈴、今すぐ理科準備室に来て」
「うん、おっけい」
「今すぐ、だからね」
「はーい」
人ごみから抜け出せてホッとした私は軽い足取りで、理科準備室へ向かった。
でも、あれ?
次の授業って、理科だっけ。
「ま、いっか」
なんかよくわかんないけど、とりあえずこよりちゃんが呼んでるなら行かなきゃだよね。
今すぐって言われたし。
とりあえず理科準備室に行こっと。
パタパタと廊下を駆ける。
理科準備室に到着すると、私は教室の戸をカラカラと開けた。
「こよりちゃーん」
何となく小声でこよりちゃんを呼んで、理科準備室に入り込む。
さて、おかしいなぁ。
こよりちゃんの姿が見えないぞ?
「こよりちゃん……?」
ぐるりとその場で回ってみると、扉に寄っ掛かるヘッドホンをした桜ちゃんがいた。
「あれ、桜ちゃん。なんでいるの?」
「………」
桜ちゃんは無言で理科準備室の扉を閉めた。