嘘つきは泥棒の始まり!
ガチャリ、鍵がかかる音がする。
「え、なんで閉めたの?」
「……」
私の質問にまたしてもスルーした桜ちゃんは、ヘッドホンを外して私に近づいてきた。
「な、何…?」
「水鈴がいけないんだよ」
「……は?」
「ばか」
私のすぐ前で止まった桜ちゃんが、ヘッドホンを私の耳につけるようにした。
ジャカジャカジャカ、と桜ちゃんの好きなバンドのアップテンポの音が耳に伝わるかと思いぐっと身構えた。
だって、今はそういうの聴いたら気分が悪くなりそう。
あれ、なんで気分が悪くなりそうなんだっけ?
そう思いながら、私の耳に桜ちゃんのヘッドフォンがつけられて、
「ひょわ…?」
そこから流れる音が予想外すぎて、間抜けな声が出てしまった。
ヘッドフォンから聴こえてきたのは、桜ちゃんが好んで聴いてるとは思えない落ち着いたクラシック。
え、え、なんで?
なんでクラシックが流れてるの?
「桜ちゃ…」
「黙って」
何故なのか理由を問おうとすると、桜ちゃんが私の手を引いた。
そして、床にストンと私を座らせて、桜ちゃんもその横に座る。