嘘つきは泥棒の始まり！

「あの…？」



状況が把握できずにヘッドフォンを取りながら桜ちゃんを見つめると、私の左に座る桜ちゃんが右肩を上げた。



「どうしたの？」


「貸したげる」


「何を？」


「………肩」


「かた？」



意味がわからず、おうむ返しする私にしびれを切らしたのか、桜ちゃんの右手が私の右頬を押した。


そしてそのまま頭がコツンと何かに当たる。




「あ……。肩、か」




桜ちゃんの右肩に頭を乗っけている状態になっていることに気がついた。


なんでこんなことになっているのかな。


わからないけれど、ドキドキがやばくて、顔にだんだんと熱がたまってくる。


こんなに近い距離、子どもの時以来かもしれない。



「…桜ちゃん」


「うん」



呼べば頭を優しく撫でてくれた。


ドキドキして、嬉しくなって。




「桜ちゃん、手繋いで……」


「……」




頭がくらくらして、小さい頃の口ぐせが唇を吐いた。


すると、数秒して桜ちゃんの右手が私の頭から離れて、私の手を握った。



「あったかいね、桜ちゃんの手」


「……うん」



小さい頃と変わらない。


桜ちゃんって、新陳代謝がいいんだろうなぁ。