嘘つきは泥棒の始まり!
………でも、ということは。
「桜ちゃん、お家まで送ってくれるの?」
「そうするように言われたからね」
「……うん、言われたから、ね」
あくまで自分からは好きだからみたいなニュアンスの言葉は言わないスタンスなんだね?
まあいいや、何にしても送ってくれるの嬉しいし。
いつも私が送って行っているようなものだから、今日は初の桜ちゃんから送ってもらえる帰り道、ということだから。
……わかってる、家隣同士だけど。
だけどね。
「帰るよ」
ほら、あの無気力な桜ちゃんが私を率先すべく手を差し出してくれたよ。
こんなにも新鮮なシチュエーションがあっただろうか。
いや、ない。
はわぁ、と桜ちゃんの手をガン見しながら幸せを感じていると、桜ちゃんが不安そうな声で私を呼んだ。
「水鈴、まだ調子悪い?」
「……ううんじゃなくて、うん。まだちょっとキツイ」
我ながらゲスいと思いながら、バレバレ
の嘘をつく私。
多分、普通にバレてる。
「………本当に言ってる?」
「ホント。おんぶして帰って、桜ちゃん」
「えー……」
あからさまに嫌そうな顔をする桜ちゃん。
さすが無気力。
そしてさすが美男子。
嫌そうな顔さえも、様になる。