嘘つきは泥棒の始まり!




えーでもせっかくいい感じなんだから、おんぶくらいしてほしいなぁ。


お姫様抱っこは経験したから、次はおんぶがいいな、と思ったんだけど。



むうっと唇を尖らせると、スカートのポケットにある携帯が震えた。


ロックを開いて見てみると、こよりちゃんから「桜庭くんに任せちゃったけど、熱は大丈夫?」って心配のメッセージ。


それから、彗ちゃんからの「もう外暗いからバイクで迎えに行こうか?」ってメッセージ。


ひゃー、彗ちゃんイケメンさんだ。


容姿だけじゃなくてこんな気遣いもしてくれるなんて!


外見も内面もイケメンな彗ちゃんに堕ちない女はいないだろうなぁ。




「水鈴、何してんの。立って」




それに比べて桜ちゃんは。


なーにが、立って、だっ。


さっきまで体調悪くて寝てた女の子に向かって、立ってだと?




「桜ちゃーん、おんぶがいいー」


「疲れるからやだ」




むむ……。


何でこうも兄弟の違いが出るんだろ。




「あーそう。いいもんね」


「何」


「彗ちゃんにバイクで迎えに来てもらうもん」



携帯の通話ボタンを押して、耳にかざす。



< 32 / 39 >

この作品をシェア

pagetop